!!18歳になっていない人は見ちゃダメ!!
かがみ×こなた(らきすた)
湯気で白く霞んだ浴室は、先ほどまでの騒がしさを感じさせないほど、しんとしている。
私の腕の中で、ぐったりとしてうな垂れているこなたの荒い息づかいだけが、静けさを裂くようにして、私の耳に届いていた。
「ちょ・・・ちょっと!こなた!」
紅潮した顔のこなたは、相変わらず「はぁ、はぁ」と、まるで全力で500メートルを走りきったように、荒い呼吸を続けるばかり。
私の言葉は、おそらく、彼女の耳には届いていないのだろう。
「こ、こなた!こなたっ!」
小さな肩を両手で揺さぶると、「ぅぅ……」と重たさを感じさせるうめき声を上げ、こなたはゆっくりと瞼を持ち上げる。
口からは涎が流れ、目を真っ赤に染めた彼女は、目を開いた後もしばらくぼんやりとした面持ちで私の顔を見つめている。
その恐ろしく幼く感じる表情に、私の良心がズキンと痛んだ。
最初は遊び程度にと思っていた。
でも、こなたの体を思うがままにしているという優越感にも似た感情が、私に制止を忘れさせてしまった。
「……ご、ごめんなさい」
朦朧とした彼女の瞳を見ることができず、視線を反らした私は、うつむいて小さく謝った。
少しずつ光りを取り戻しつつある、こなたの瞳の奥に潜む、怒りを見るのが怖かったのかもしれない。
……そうだ、きっとこなたは怒っているに違いない。
私は、彼女にひどいことをしてしまった。
どう言い訳をしようかという気持ちと、言い訳などせずに謝れと自分を叱責する感情が入り交じり、
許してくれるだろうか、許してくれなかったらどうしよう、と不安が止めどもなく心から溢れ出して来る。
そんなことばかり考えている自分に対する嫌悪感、こなたと友達でなくなってしまう恐怖に、目から涙が溢れそうになる。
自業自得も甚だしいが、今の私にできることは、どれほど軽蔑されたとしても、彼女に謝ることだけなのだろう。
冷静で客観的な自分と、戸惑いパニックに陥っている自分が心の中で渦巻き、その感覚が不思議だった。
こなたは、目を何度か開いては閉じを繰り返し、瞳の焦点が定まった頃に、ようやく体を起こすと、小さく
「……うぅ…おふろ……?」
とつぶやくと、辺りをキョロキョロと見回している。
額に張り付いた前髪を指先で払い、弱々しく立ち上がった彼女は、しばらく呆然とした様子で鏡を見つめていた。
数秒ほどの後、こなたの背中がビクリと動いたのを見て、私は思わず身構えてしまう。
ああ、こなたは一体、どんな言葉で私を責めるのだろう?
罵倒だろうか?それとも軽蔑だろうか?
どちらしても、私はそれを全て受け止めなくてはならない。
ゆっくりと振り向くこなた。
私は、自分が全裸であることなど構わず、自分にできる限り真剣な面持ちで、こなたの顔を見つめる。
振り向いたこなたの顔は、少しだけ微笑んでいるように見えたのは、きっと私の思い違いなのだろう。
その瞳は今にも涙を取りこぼしそうなほどに潤み、まだ収まらない呼吸の余韻が、こなたの小さな肩を微かに揺らしていた。
「もー、かがみんヒドイよぉ」
その言葉を彼女が言い終わる間を置かずに、私は深く頭を下げた。
「ご、ごめん!」
頭を下げ、ぐっと目をつむると、瞳の奥から涙がじんわりと広がり、目頭を湿らせる。
このまま頭を上げてしまうと、今にも涙が零れてしまいそうで、私はじっと目を強くつむったまま、こなたの次の言葉を待った。
私に想定できる範囲で、最悪な言葉が何度も脳裏を駆けめぐる。
じりじりと待っている時間は、私にとってはひどく長い、しかし、こなたにとっては、ほんの一瞬の出来事だったのかもしれない。
しかし、こなたの口から紡がれた言葉は、私が想像していた、どの言葉とも異なっていた。
「ちょっ…!か、かがみん……?な、なんで謝ってるの!?」
ああ、何と言うことだろう。
私が想像していた、どの言葉とも異なり、こなたは……あれ?
ぎゅっと閉じていた瞼を上げ、私は思わずこなたの顔を見てしまう。
こなたの顔は、まるで信じられないとばかりに驚きに溢れていたが、彼女の目が私の顔を捉えると、その表情は驚愕に変わった。
「か、か、かがみん!?なに泣いてるの!?」
こなたが見た私の顔は、一体どんな風だったのかは知るよしもないが、きっと目は真っ赤で、口はヘの字に曲がり、今にも涙が溢れんばかりに見えたのだろう。
私は慌てて、腕で目を拭うと、こなたの顔をじっと見つめてしまう。
「……こ、こなた…怒ってないの…?……ですか?」
思わず敬語で尋ねてしまう。
その口調に、彼女はおかしそうな笑いを口から漏らして「怒るはずないじゃん」と続けた。
良かった、という安堵の気持ちより先に、私の心は動揺していた。
「あ……あはは……そ、そっか、怒って……ない?ほんとに…?」
念のため確認してしまう。
こなたは、きょとんとして大きく かぶりを振った。
拍子抜けという言葉が正しいのかどうかは、いささか不安だが、緊張の糸が一気に解けた私は、その場でうな垂れてしまう。
よ、良かった……
私の心の中で渦巻いていた様々な恐怖が、一気に溶けたように感じた。
安堵の息を胸の奥から深く吐(つ)きながら、私の中で1つの疑問が沸々とわき起こる。
「あ、あー……でも、本当にごめん、ちょっとやり過ぎた…」
しかし『Q.どうして、こなたさんはくすぐられても怒らないのですか?』などと聞けるはずもなく、謝罪の言葉を吐くことしかできない。
「全然平気だって。気にしない気にしない。さて、汗かいちゃったから、体でも洗うとしますかね」
そう言いながら、こなたは据え置きのシャンプースタンドから、ボディソープを手に取ると、
タオル掛けからスルリと抜き取ったボディタオルにそれをピチャピチャと垂らし、わしわしと太ももを洗おうとしたようだった。
太ももにボディタオルを当てがったまま、こなたの動きが止まる。
私はそんな彼女に軽く疑問を感じながらも、そそくさと湯船へと移動した。
体を縮め込むようにしてお湯に足を入れると、若干熱く感じるお湯に、皮膚がチリチリと痛む。
そのまま体を湯船へ沈め、肩までお湯に浸かると、こなたの姿を見た。
鏡の前でじっと自分の太ももの辺りを見つめる彼女、どうしたのだろう、と思いつつ声をかけてみる。
「こなた、どうしたの?」
「…!なっ……な、なんでもない」
ビクッとこなたの肩が大きく動き、ようやく、こなたの手がワシワシと太ももを洗い始めた。
風呂から上がりさっぱりした私たちは、ドライヤーで乾かしたとは言え、幾分かの湿り気を残した髪を気にしながら、リビングのソファに腰を下ろす。
すっかり雨に打たれてしわくちゃになったセーラー服をビニール袋に詰め込んで、私はこなたから借りた……
どうして、そんな物があったのか、その事情を聞きたくない、謎のワンピースを身につけている。
こなたは、相変わらず、しわくちゃの紺色のタンクトップと山吹色のハーフパンツという出で立ち。
私の髪の毛からは仄かに花の香り。
ふと、学校でこなたの髪から感じた花の香りを思い出し、なるほどと思った。
「かがみんは、牛乳でいい?」
何の花の香りなのだろう?などと、ぼんやりと考えていた私へ、こなたの心配り。
「あ、うん。なんか悪いわね……お風呂いただいた上に、飲み物ももらっちゃって」
「気にしない気にしない。かがみんと私の仲ではないか」
ヒッヒッヒッとおかしな笑い声を立てながら、キッチンの奥へ消えるこなたの背中を見送りながら、私は窓の外に目を向ける。
すでに、私たちを濡らした入道雲は遙か彼方へ流れて行き、空にはわずかなモコモコとした雲が数個浮かんでいるばかり。
日差しは強いが、湯船に浸かって火照った体には、天窓から流れ込んでくる風が心地よく感じた。
じんわりと額に汗が浮かび、それを湿ったバスタオルで拭う。
「お待たせー」
その声と同時に、コトンとテーブルから音がするのを聞き視線を戻すと、牛乳がなみなみと注がれたコップが2つ。
そこに、小さなマフィンが4つ乗せられた小皿が1つ。
「お、サンキュー」
こなたがソファにボフッと座るのを見届けてから、私はコップに手を伸ばす。
ゴクゴクと喉を鳴らして牛乳を飲むと、乾いた喉に日の光が差したようだった。
牛乳を3分の1ほど飲んだ辺りでコップをテーブルに戻すと、こなたも4分の1ほど飲み終えた辺りでコップを置いて、マフィンに手を伸ばそうとしている。
こなたの細い腕を見ると、先ほど、風呂で触れた彼女の体のことを思い出し、少しだけ顔が赤くなったような気がした。
薄紙を指先ではがして、ポイとマフィンを口に放り込む。
ムシャムシャと頬を膨らまして食べる彼女の姿は、まるでリスを思わせ、微笑ましい。
……あまり、じっと彼女の姿を見つめているわけにもいかず、私もマフィンに手を伸ばす。
薄紙を剥がして口に放り込むと、ブルーベリーだろうか、甘酸っぱい味と香りが口の中に広がった。
「あ、…そだ」
もう1つ、マフィンに手を伸ばしかけた彼女は、その手を止め、口を動かす。
「ん?」
「かがみんや。これ食べたらさ……ゲームしない?」
マフィンを手に取り、薄紙をペラペラと剥きながら、こなたが伏し目がちに言う。
いつもと異なる雰囲気を訝しく思いながらも、思うところあって苦笑いしながら言葉を返した。
「またギャルゲか?」
私の言葉に、こなたは、ほんの少しだけ間を置いて首を大きく横に振った。
そして、一瞬だけ目を伏せ、何かを決意したように顔を上げるこなた。
若干、頬が赤らんでいるように見えたのは、風呂上がりだからだろうか?
そんな思いを巡らせる間もなく、彼女の口は、驚くべき言葉を発していた。
「く、くすぐりっこ……」
「へ……?」
私は自分の耳を疑って、思わず聞き返してしまう。
こなたは相変わらず伏し目がちのまま、マフィンを口に運んでいる。
「……あ、……えっと」
私は動揺を隠すこともできず、こなたの口から発せられた言葉の意味を、何とか汲み取ろうとしていた。
しかし、何度、彼女の言葉を頭の中で繰り返しても、その言葉からは、ただ1つの意味の他には、隠された暗号や、密かに込められたメッセージを読み取ることはできなかった。
なぜか神妙な面持ちになってしまいながら、私はじっと、こなたの目を見つめる。
マフィンをもぐもぐと食べながら、前髪に隠れた瞳を見ることはできなかったが、その顔が赤くなっているのが分かった。
普段なら他愛もない雑談の中にも出てくるだろう「くすぐり」という言葉。
こなたは一体、どんな気持ちでその言葉を口にしたのだろう?
様々な思いが交錯し、どうやって言葉を返せばいいものやら分からないまま、ただ、静かな室内に時計の針の音だけが響き渡っていた。
「か、かがみ……」
その静寂に耐えかねたのだろうか、こなたがおもむろに顔を上げる。
私はその顔を見て、自分の胸が大きく脈打ったのを感じた。
仄かに赤らんだ頬、垂れた前髪の間からのぞく潤んだ瞳。
私の指先に、風呂場で触れた彼女の肌の感触がよみがえる。
ドクンドクンと、鼓動が耳を打ち、耳が熱くなる。
「こ、こなた……くすぐりって……」
「私……さっき…変だったんだ……」
しどろもどろに言葉を紡ぎ上げるこなたは、途絶え途絶えの言葉を取りまとめるように、ゆっくりと私に自分の気持ちを伝えようとしている。
恥ずかしさと、選ぶべき言葉が見つからないもどかしさが、ヒシヒシと伝わってくるようだった。
「さっき……お風呂で、かがみにくすぐられて……変だった。苦しかったの」
間髪入れずに、ごめんと謝ろうと思ったが、やめておいた。
こなたは、私を責めているのではない。
彼女は、きっと自分でも自分自身が感じている感覚に、どんな施しを加えればいいのか戸惑っているのだろう。
私の中では、先ほどの疑問に答えが出つつあった。
『Q.どうして、こなたさんはくすぐられても怒らないのですか?』
その答えは。
「でも……でもね、かがみ……こんな事言うと…頭がおかしいと思うかもしれないけどさ……」
私は黙って、こなたの定まらない瞳を見つめている。
「私ね……もっと、く、くすぐられたい……」
カーテンを閉めた室内は、まるで夕暮れ時を思わせる薄暗い明かりに満たされている。
エアコンのおかげで暑さは感じないが、私の手には微かに汗がにじんでいた。
こなたの家、そのリビング。
何度も訪れ、すっかり通い慣れたはずの場所であるはずなのに、今日の私はひどく緊張している。
頭の芯から沸き上がって来る、痺れるような不思議な感覚。
その、例えようがない熱い気持ちが、体中の指先まで駆けめぐり、全身が少しずつ熱くなっていくのを確かに感じていた。
ソファの上には、こなたが長い髪を広げて横になり、じっと私の顔を見つめている。
その瞳には、明らかに日頃と異なった光が宿っていた。
やや色黒の肌が、仄かに汗ばんで見える。
緊張のためか、小さな口から漏れる息は熱く荒くなっているようだった。
ソファに横になった彼女を見ていると、その体の小ささが良く分かる。
私たちと同い年とは思えないほど、細く華奢(きゃしゃ)な体は、まるで、その1つ1つの部品を職人が丹誠込めて作り上げ、組み立てたのではないかとすら思えてくる。
私の脳裏には、『こんな事をしていいのか』と思う気持ちの反面、それとは正反対の気持ちがせめぎ合っている。
『早く、こなたの体に触れたい』
『こなたを、私の手で狂わせてしまいたい』
ひどくサディスティックな思いに、自分の残酷な部分を見たような気がして、少しだけ驚いた。
「か、かがみ……私、ど、どうしたら…いい……?」
おどおどとして、申し訳なさそうに尋ねてくるこなた。
その語尾には、力強さなど微塵にも含まれていない。
これから始まる事への不安が、彼女の心を翻弄しているのだろう。
ただ、彼女の脳裏を支配しているのは、決して不安だけではないはずだ。
紅潮した頬、熱い息が、不安の中に潜む期待を含み、私にそれを強く物語っているように感じた。
カーテンの向こう側からは、こもった風の音と、遠くから届く街の雑踏が聞こえている。
日差しはまだ強く、床に落ちる斑の木の葉の陰が緩やかに揺れていた。
ふと、時計を見る。
午後5時少し前。
「……じゃ、じゃあ、手を上げて…」
時計の秒針が12時を指したのを合図にするように、私が言う。
「…はい……」
一瞬、大きく目を見開き、素直な返事を返すこなた。
まるで、支配する側と、支配される側のような、奇妙な関係が生まれているような錯覚に陥りそうになる。
こなたは、腕をゆっくりと持ち上げる。
細く繊細な指先が微かに震えているのが分かる。
ゆっくりと、恥じらうようにしてソファの肘掛けを両手でぎゅっと掴む。
「……っ……か…かがみ……っ…」
頬だけでなく、耳まで真っ赤になった彼女が、羞恥心を必死に抑え込むように、つたない言葉で私の名を呼ぶ。
私は、ただ、そのあどけなさすら感じさせる、彼女の顔を見つめる事しかできない。
どこに視線を定めれば良いのか分からない様子で、しきりに目を泳がせる彼女の姿を見つめながら、次第に胸の中の鼓動が大きくなっていく。
こういう時、普通ならどういう言葉で、それを始めれば良いのだろう?
この状況に、どうやって「普通」という言葉を当てはめれば良いのか分からないが、何もかも初めての事を、私は手探りで必死に模索していた。
「じゃ、じゃあ……行くわよ…」
ありきたりな言葉で、私が「はじまり」を告げる。
コクリとかぶりを振るこなた。
横になった彼女の腰をまたぐようにして膝を付く。
そして、おもむろに大きく腕を上げ、露出した脇の下へ、右手の指先をあてがった。
ビクッと、こなたの全身が大きく脈打ち、彼女の口からは「うぅっ!」と、うめき声のようなくぐもった声が上がる。
室内は涼しいのに、指先から感じる彼女の体温は、あっという間に熱くなっていく。
柔らかい脇の下の皮膚は、わずかに汗ばんで、いつ訪れるとも知れない刺激に怯えているようにすら感じられた。
ゆっくりと、人差し指を動かし、指先の腹でなぞるように刺激を与えると、こなたの体が再び大きく跳ねる。
「……くぅっ!」
まるで、生まれたばかりのような滑らかな感触。
その感触を楽しむように、愛撫でもするように、ゆっくりと、人差し指を這わせていく。
「……くっ…!かっ……かがみぃ!」
必死に腕を下ろすまいと、肘掛けを掴む指先に力を込めながら、こなたが懇願するような視線を私に向けている。
私はそれに気づかない振りをして、脇の下への刺激を続けていく。
こなたの体に帯びていた熱が、私にも移ってしまったように、全身が熱くなっている。
額に汗がじんわりと滲み、私を自制している遠慮の気持ちが、少しずつ薄らいでいく。
それに従って、私の中では今までにない感情が、沸々とわき起こって来るのを確かに感じた。
(こなたを乱れさせたい……乱れたこなたを見てみたい……)
指に少しだけ力を込めて、皮膚の上でグリグリと動かしてみる。
ガクガクッと、こなたの体が跳ねるが、それに構うことなく、指を動かし続ける。
「くひっ!かがみぃひぃぃ!」
目を大きく見開き、首を左右に大きく振るこなた。
先ほどよりも汗が多くなった肌の上を、中指を加えて、より激しい動きで責め立てていく。
爪を立てて、コリコリと優しく掻くように撫で回したかと思うと、指先を押しつけてグリグリと無秩序に揉みしだく。
「くくっ……かぁっ…!かがみぃぃ!!」
少しずつ強まっていく妖しい刺激に、いよいよ、こなたも耐えられなくなって来たのだろう。
髪の毛を振り乱して、懸命に自分の気持ちを私に伝えようとしている様子だったが、私はそれに構わず、5本の指を動かし始めた。
「ひゃぇ!!やめて!ほんとダメぇぇ!!」
脇の下の上で、5本の指がダンスを踊る。
縦横無尽に皮膚の上を踊りながら、私の指先は確かな意志を持って、こなたに、ある行為を強制しようとする。
「くひゃっ!!ふぅぅぅ!!ひゃはッ!」
敏感な肌の上で、5本の遠慮がない指が踊っているのだから、どれだけくすぐったいのだろう。
私には、それを計り知ることはできないが、こなたの姿を見ている限り、私が想像するよりもずっと激しく、強烈な刺激が、こなたの身の上に降りかかっていることだけは確かだった。
脇の下の薄い皮膚から送り込まれる、くすぐったさの波。
それが、こなたの口から今にも笑いを吹きだたせようと、必死に追い込みをかけている。
「はひぃ!!ヤダァァ!くひゃっ!もうダメだって!ほんと!ほっ…くふっ!ほんとだってばぁぁぁ!!」
私は唐突に指先を脇の下から離す。
跳ね回っていた彼女の体がソファの上に沈むように落ち込み、後には荒い息づかいだけが聞こえてくる。
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
うな垂れて、必死に息を吸い込んでいるこなたの姿を見下ろしながら、私は静かに、彼女の耳元に顔を寄せる。
そして、ふーっと、小さな耳に息を吹きかける。
「ひゃあっ!?」
びっくりして顔を上げる彼女に、私はそっと語りかけた。
「こなた……もう、おしまいにする?」
私の口から出た言葉は、ひどく落ち着いていて、自分でも大人びているように感じた。
こなたも同じことを思ったのだろう。
驚いたような、そして、怯えるような表情で、私の顔を上目遣いで見上げて来た。
「……か、かがみ……?」
「私、もう少しだけ、こなたの可愛い姿を見てみたい……」
しなだれかかるような、自分でも驚くほどの妖艶な雰囲気。
だが、それは決して言葉だけではなく、私の本心を表している。
「ねぇ、こなた」
1つ大きく息をつくように言葉を発してから、私は続けた。
「あんたは……いつも、何を考えているのか分からない……
何かと言えば、オタクな話題で、いつも私たちは翻弄されてばかり。
それに、あんたといると、色んなことが起きる。
こなたがいなければ、私たちには、ずっと縁遠かったかもしれない、色んなこと」
ふと、こなたの顔に僅かな かげりを見たような気がしたが、私はしゃべることをやめない。
「でも、あんたがいると……暖かくなる。
あんたがいると、優しくなれる
あんたの笑顔が、私たちを優しくしてくれる」
「……」
「あんたと出会って、もうじき3年。
この3年という時が巡る中で、こなたは、私にとって……欠かせない人になっていた」
普段なら思うことすら気恥ずかしい言葉が、自然と脳裏を巡り、口を突いて出る。
「私は……この高校に来て良かった。
色んな人と出会って、色んなことを学んで……
そして、こなたに出会えた……」
ふと、思うことがある。
もし仮に、私たちだけが世界に取り残されたとしたら、という、下らない妄想だ。
私と、つかさと、みゆきと、こなただけの世界。
黙々と続く日々の中で、私は生きていくことができるだろうか。
答えは、イエスだ。
「私は、こなたに出会えてよかった……
私は、あんたの笑顔が好き。
もう少しだけ、こなたの笑顔を見ていたい……」
語り終え、息をついた私は、こなたを見る。
ソファの上で、ぽつりと横たわった彼女は、うつむいたまま、じっとしていた。
「……かがみ」
こなたが私を呼ぶ。
「ん?」
「……ありがとう」
こなたは、小さく、聞き逃してしまいそうなほどか細い声で、言った。
静寂に包まれた室内には、ただ、時計の針の音だけが響いている。
薄暗いソファの上には、まだ汗の引かないこなたと、それをまたぐような形で、私が膝で立っている。
先ほどまでの緊張は、そこにはない。
雰囲気の他に、先ほどと違うところと言えば、ほんの少しだけ、こなたの目が赤い事だけ。
「こなた……本当に辛くなったら言いなさいよ…?」
「だ、大丈夫……」
こなたが両腕を上げて、肘掛けを再び両手で掴む。
大きく露出する脇の下からは甘い香り。
私は指先を脇の下に置き、ゆっくりと動かし始める。
先ほどよりも、幾分か柔らかく感じる肌を、軽くつまむようにクリクリといじってみる。
「くひっ!」
身をよじり、私の指先から逃れようとするこなた。
それを制するように、私は膝で彼女の腰を、ぐっと挟み込む。
「ちょっ!か、かがみ!くっ……動けない!それじゃ動けないって!」
その言葉に構わず、左手も脇の下に添える。
そして、指先をクネクネと動かし、彼女に新たな刺激を送り込み始めた。
「はぁぅ!ひゃふっ!」
汗でぬるぬると滑る肌の上を、自分がされれば、きっと堪らないだろうと思う方法で刺激し続ける。
人差し指で、肌の上を上から下へ撫で下ろしたかと思うと、親指と残りの4本の指で脇を掴み、ブルブルと震わせてみる。
体の中でも一番くすぐりに敏感だろう、両方の脇の下への攻撃に、こなたの体は正直に反応する。
何度も、こなたはソファの肘掛けから手を離しそうになるが、健気に何とか手を離すまいと、力を込めているのが分かった。
それを良いことに、私は大きく開かれている脇を徹底的にいたぶり続けた。
「ひゃひぃ!!うひゃぁぁ!!くはっ!ひっ!ひぃぃ!!」
頭がもげんばかりに顔を左右に振り回し、髪の毛を振り乱して、こなたは全身でくすぐったさを表現している。
私は、脇への刺激を弱めると、それでも暴れ回り続けている彼女に、1つの提案をしてみた。
「ねえ、こなた。ゲームしない?」
「ひゃあ!!やるやる!くひっ!やるから!やるから、やめてぇぇ!!」
「私が、脇の下に字を書くから、当てるってどう?当たったら1分の休憩」
そう言いながら、脇の下をくすぐっていた指を、脇腹へ移動させていく。
新たな場所に加わった突然の攻撃に、彼女が再び大きく体を震わせる。
「ひぃゃあああ!!分かった!分かったかから脇腹だめ!くはは!!あはははははは!」
右手で脇腹をこねくり回すと、いよいよ耐えられなくなったのか、こなたの口から大きな笑い声がほとばしった。
私はしばらく、脇腹への刺激に笑い転げるこなたの姿を楽しみ、ようやく指を動かすのをやめる。
「はぅっ…はぁっ……ゲホッ…はぁっ……」
何度もむせ返りながら、呼吸を落ち着かせようとするこなた。
目からは涙が流れ、口元から涎が流れ、頬を伝っていた。
髪の毛は乱れに乱れてソファの上で絡まり合い、全身は汗がびっしょりに濡れている。
脇の下と首もとを中心にして、紺色のタンクトップは濡れて黒くなっていた。
彼女の体からは熱気が溢れ、激しい運動の後のような、相当の疲労感を見て取ることができる。
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
ようやく呼吸も落ち着いてきた頃合いを見計らって、そっとこなたに言う。
「書いた文字が違ったら、脇の下をペロペロの刑ね」
びくっと、こなたが顔を上げ、驚いた顔で私の顔を見つめる。
「ちょっ!だ…ダメだよ!汗かいてて汚いって!」
「大丈夫よ、こなた のだしね。それに、間違えなければいいのよ」
そう言いながら、私は彼女の右二の腕を左手で抑え込む。
じっとりと滲む汗の感触。
こなたの顔を見ると、目は疲労のためか とろんとして、不安そうに私の手の動きを見つめている。
そこには、すでにいつもの覇気(はき)はなく、ただ、私に成されるがままの一人のか弱き少女となった、こなたの姿があった。
もし、この姿を、つかさやみゆきが見たら、どれほど驚くだろう。
そして、私にくすぐられ、笑い狂う姿を見たなら、どう思うのだろう。
「さぁ……行くわよ」
人差し指を立てて、ゆっくり脇の下へ近づけていく。
二の腕から、ドクンドクンと、こなたの鼓動。
私の心音も、こなたに伝わっているのだろうかと思うと、少しだけ恥ずかしくなる。
ピトリと指が肌に触れる。
その瞬間、こなたは「くふっ!」と笑いを漏らしそうになるが、ぐっと口をつぐみ持ちこたえた。
そのまま、肌の上にゆっくりと指を走らせる。
わざと、くすぐったいように。
わざと、ゆっくりと、なるべく、こなたが感じやすいように。
「むぅぅぅ!!ううっ!ぐむぅぅぅ!!」
自由な両足と、左腕をバタバタさせながら、こなたがくぐもった笑い声を口の中で押し殺している。
大きくピンと張られた脇の下の皮膚の、細かなシワを撫でるようにして、字を書いていく。
指先に強弱を付け、時には爪を立てて。
時折、ツンと皮膚をつつくようにしたり、わざと、一カ所だけに指を止めて、クニクニと動かしたり。
なぞられた部分の皮膚が仄かに赤くなり、すぐに肌色へと戻っていく。
「ふぅっ……むふぅっ!!くくっ……くふっ!!」
指を走らせながら、私はこなたの特に反応する場所を探り当てていた。
脇の下の窪み、その周辺に指が触れると、こなたの体が大きく跳ね回り、こもった笑いを漏らしている。
ゆっくりと、ゆっくりと、指を這わし終わり、そっと指を離す。
「さて、どういう字でしょうか?」
固く閉じていた口を開き、荒い息を吐きながら、こなたは必死に答えを探っている。
あれだけ暴れ回れば、きっと文字など分からないに違いない。
しかし、それでも必死になって、自分の脇の下に与えられた刺激を思い返している彼女を、心から愛おしく感じた。
「……わ、わかんない」
「残念!答えは、薔薇の「バ」の文字でした」
「ちょ!なにそれ!そ、そんなの分かんないって!」
こなたが非難の言葉を浴びせてくるが、私は、彼女の両腕を掴む。
突然のことに動揺したままの彼女に構うことなく、まだ指先の余韻が残っているだろう、右脇の下へ顔をうずめた。
むんとした汗の香り、そのまま、舌で脇の下を舐め回し始めた。
「ひゃははははは!!きっ、汚いって!!あははははは!」
ぬるぬるとした舌の感触、それが敏感な脇の下を舐め回しているのだから堪らない。
突然の責めの始まりに心の準備などできるはずもなく、ただ、その刺激から繰り出されるくすぐったさに、笑いで答えることしかできない。
「あはははは!かがみ!くすぐったい!それホントにくすぐったいってば!」
クチュクチュと舌が、脇の下の上を撫で回し、彼女の脇の下を唾液で濡らしていく。
若干の塩味と、甘い香りが私の口の中に広がる。
「ちょ…!あははははは!ひゃぎぃぃぃ!!いやぁぁぁはははは!!ペロペロだめ!やだ!くはははははは!!」
身をよじって、私の舌から何とか逃げだそうとするこなた。
しかし、先ほどまでのくすぐりで体力を奪われている彼女の力は、さして強くはない。
バンザイの姿のまま、逃げることも、避けることもできない状態の彼女の脇の下を、遠慮なく舐め続ける。
「はぁぁぁぁ!!あははははは!!あははははははは!!ちょ……ちょっ!ひゃはははは!げほっ…あははは!」
閉じることが許されない脇の下への、ぬるぬるとした柔らかな舌による刺激。
いつ終わるとも知れない刺激の連続に、こなたは、なりふりなど構う余裕もないまま、ただ笑い続ける。
「ひゃははははは!!もう……もうやめ……あはっ!あははははは!」
一旦、右脇から顔を上げた私は、間髪入れずに左の脇の下へ顔を埋める。
一瞬だけ、攻撃が終わったのかと息をつこうとした彼女にとっては、おそらくフェイントになったに違いない。
「ひぃぎゃああ!!あははははははは!!かがみぃぃぃぃ!!あはははははははははは!!」
叫び声にも近い笑い声を上げ、こなたが再び大きく体をばたつかせる。
その動きを制するように、私は右手で彼女の両手を抑えると、左手で彼女の脇腹を揉むようにくすぐり始めた。
「ぎゃはははははは!くすぐったいてぇぇぇぇぇ!!くくくくく!はははははは!あっはっはっはっ!!」
脇の下への舌による責めと、右脇腹への揉むような責め。
両方を同時に受け止めるような余裕は、こなたには残されていないだろう。
私の指がタンクトップの上から、その薄い皮膚をグニグニと揉み上げる度に、けたたましい笑いが吹き出していく。
脇の下には、再び汗が滲むが、それを丹念に舐め取るようにして舌を這わせる。
唇で吸うようにしたり、キスをして肌を愛でるだけでも、こなたは大きな笑い声を上げてくれる。
脇腹へのくすぐりに飽きた私は、手探りで左手をタンクトップの裾から潜らせる。
そして、直に肌に触れ、脇腹から脇の下をグニグニと刺激する。
滑らかな感触と、汗で濡れた感触が溶け合うのが心地よく、必死になって指先を動かしてしまう。
「ひゃぁぁぁ!?あは…あははははは……あははははっ!」
どれぐらいの時間が経ったのだろう。
こなたをくすぐることだけに集中していた私には、すでに、どれだけの時間が経ったのか知る術はない。
ただ、こなたの笑い声が弱々しくなってきている事だけが、相当の時間の経過を意味していた。
そろそろ休憩をしようかと思っていると、こなたの口から、不思議な声が漏れだしているのに気づいた。
「あぁ……あはははは…あぁっ…ひゃははははっ……」
最初、それは笑い声だと思っていた。
試しに脇腹への刺激を強めると、笑い声に混じり小さな、例えるならあえぎ声と言うのだろうか?
甘く深い声が漏れだしている。
「あはははははは……あはっ……あぁっ……あっ……かがみぃ…くふっ…あぅ……かがみぃぃ……」
朦朧とした様子で、こなたが私の名を呼んでいる。
脇の下への攻撃を止め、顔を上げる。
くすぐりによる笑いと、形容しがたい表情を浮かべたこなたは、脇腹への刺激に反応して、びくっびくっと体を波打たせていた。
そっと、二の腕に手を触れると、笑い声が益々大きくなる。
すでに、彼女は体のどこを触れられても、くすぐったさしか感じられない状態にある様子だった。
脇腹から脇の下までを撫で回していた手を、タンクトップの下から抜き取る。
ようやく、くすぐりから解放された彼女は、ソファに体を横たえ、ただただ深く強い息だけを繰り返していた。
「はぁぁ……はぁぁ……かがみぃ……」
胸を上下させ、目を閉じたままのこなた。
私はそっと、彼女の上から床に足を下ろし、時計を見る。
時計は、午後6時27分を指そうとしている。